夏の夜と猫


ご主人さまのあとを歩くぼく
ご主人さまのあとを追いかけるぼく
ご主人さまの夜の散歩は毎日続いていた


こっそり追うぼくに気づかないご主人さま
そんなご主人さまが大好きだった
いつもいつも甘えた
甘えられるだけ甘えた
わがままもいったし
怒らせもした


けど
やっぱりぼくには
ご主人さましかいなかった


時はさまざまなものを変えていった
大好きという気持ちだけが残った


取り残された月のカケラ
群青世界


夏の夜
ぼくは猫


また甘えられる日を待ってる
ぎゅっと抱きしめられる日を
やさしくなでるその手を待ってる