歩いて無人島へ

干潮のほんの数時間だけ
歩いていくことを許してくれる島がある。


海からその姿を現した砂の道。
両側に海。


いつもなら海の底の砂地。
砂地はゆるりとくねった道となり島へ続いていた。
ひたすら歩いた。


陽射しにさらされ、海風に吹かれ砂地の表面は乾いていた。
そう、ほんの表面は。


でこぼこと足跡が残されたその砂の道を
つたなく歩いていく。


砂に足を取られる。
靴に砂が容赦なく入ってくる。


緑の島は見えているのに
なかなかたどりつかない。


ひたすら砂を踏みしめ
一歩一歩前へと。


まるで修行のよう。
真夏でも真冬でもないのが救いかもしれない。


この修行が
楽しくなってくるのだから不思議だ。


歩くというのは
なんと心地よいことなのだろう。


島へたどりつくとそこには案内人。
たどりついた人々に小さなチラシを配っていた。
島の上へのぼれることを口頭で教えてくれた。
15分くらい階段をのぼるとで島の頂上らしい。


小さなチラシ。
潮が満ち、砂の道が海に沈んで帰れなくなったとしても
携帯で連絡をすれば船で助けにきてくれるとのこと。(ただし有料)
連絡先がそのチラシに記載されていた。


島の上には遊歩道や展望台が4箇所あるらしい。
島を歩いて一周すると1時間以上かかるというようなことも言っていた気がする。


また干潮であってもいつでも歩いて渡れるものでもないらしい。

参考
知林ヶ島ホームページ〜あなたも島に歩いて渡ってみませんか〜
http://www.city.ibusuki.lg.jp/chirin/main.htm

鹿児島県指宿市知林ヶ島(無人島)


島へ続く砂の道(両側は海)


島の階段


島の上から


展望台



曇りはじめ、潮も満ちはじめていく。


夕方写真を撮りに戻ってきた。
砂の道は消えはじめていた。

わたしの残した足跡は
波で
跡形もなく消えているのだろう。


海の底に砂の道は再び沈む。
また光と風に再会するときまで。