優しさに触れて、優しさがどんなものか知る

夕方、帰宅を急いでいると、道ばたに黒っぽい自転車が倒れていた。よく見ると自転車本体に足がからまっているのか動けないままアスファルトに腹ばいになっている小学3〜4年生くらいの男の子が…。ああ、あのあたりの段差で転んでしまったのだろうな、と。

男の子は自力ではなかなか抜けだせそうになく、ああ、助けなきゃと近寄っていくと、私より近くを歩いていたおばさま方が助け始めて、しきりに「大丈夫?大丈夫?」と。
わりと人通りのある時間帯で、チラッと見て通り過ぎて行く人もいたけれど、立ち止まって助けてくれる人もいて、世の中捨てたものじゃないなあと。


やっと自転車から解放されたものの、転んだショックのせいか、呆然としていて様子がおかしい。「大丈夫?痛い?お母さん呼ぼうか?おうちに電話する?」と女の人が携帯をカバンから取り出して、その光景を見て胸が熱くなった。


ああ、優しいなと。


こんな風に優しくしてくれる大人もいるのだということ、困ったときは手を差しのべてくれる大人もいて、そういった優しさに触れる経験を子どもの頃にしていると、やはりその子どもも優しい大人になるんじゃないかな、と。


優しさに触れて、優しさがどんなものか知る。それはあると思う。