「家族と離れて暮らす」ということ

仕事はしなきゃだし
こっちにも友達はできたけれど
でもやっぱり家族と暮らしたい。
実家に帰りたい。
でも
実家に帰っても
彼女がしたい仕事はなくて
兄のように地元の公務員を目指していればよかったのかと後悔する彼女。


仕事はつらくはないけれど
うちに帰ってひとりで食べるごはんはさびしくて
実家のにぎやかな晩ごはんがなつかしい。そんな感じだろうか。


彼女の実家は一度入るとなかなか出られなくなる真冬のコタツのようなものなのかもしれない。


今度帰省したら
もうこっちには戻れなくなるかもです。
目を伏せがちに彼女は言った。


「家族と離れて暮らす」ということ。
何と言っていいか言葉が見つからない。
誰かと暮らしはじめたら、寂しさは軽減するだろうか。
でも誰と暮らす?
友達?
恋人?
ルームメイト?


彼女が欲しているのは、実家の居心地の良さやあたたかさで、家族の中で自分ひとりだけ離れて暮らしているという疎外感が寂しさを増幅させているのかもしれない。