ベクトルの先

再婚生活山本文緒 読了

こうしてうつのトンネルに入ってしまうと、自分のベクトルの先(何をして、どんな風になりたいか)が分からなくなって虚ろになる。
以前はベクトルの先が定まらないことなんかなかったのに。

この『再婚生活』の中でちょっと気になったのはベクトルの先ということ。

うつに入るからベクトルの先がわからなくなるのか
ベクトルの先がわからなくなるからうつになるのか

そのどちらなのかはわからないけれど、たぶん両方可能性としてあるのだと思う。

自分が何をして、どんな風になりたかというのがはっきりしていたら、たぶんうつみたいな状態にはならない。
何をしたらいいかわからなくて、どんな風になりたいかわからなくなって、動けなくなってしまう、そういう状態はつらいものだ。


もしそういうつらい状況になったら、前にも書いたかもしれないけれど、
とにかく淡々とすごすこと。
きちんと食べて
きちんと眠って
刺激を与えるような情報から遠ざかること。

そして、とにかく体の状態をよくすることだと思う。病院に行ったり、カウンセリングを受けたり。
体を休めたりいたわることはホントはもっともっと必要で大事なこと。それなのに案外忘れられて、気がつくと体はボロボロになっていたりする。機械じゃないんだから、ずっとずっと動き続けることはできない。機械だってずっとずっと休まず動き続ければそのうち壊れてしまう。


今の私はベクトルの先がきちんと定まっていて、とても安定している。やりたいことをやっているという実感があるし、これからやってみたいことが次から次に出てきて楽しい。


まっすぐ前を向いている、その感覚があるうちは大丈夫だと思う。
別に上を目指さなくていい。
前を向いていればいい。
振り返っても過去は変わらない。
過ぎていってしまった人、終わったことをいまさら追いかけても時間のムダだと思う。


ベクトルの先へ向けて、自転車をこいでいるときがいちばん安定するんじゃないかと思う。
ベクトルの先は自分で見つけるもの。
ベクトルの先を見つけることができたら、たぶん安定する。
ベクトルの先へ向けて歩き出せると思う。

再婚生活

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