痛みがわからない人には近づかない。距離を置く。

その人は傷つけるつもりはなかったのだろうけれど、その言葉はカミソリの刃だった。


とっさに思った。
ああ、この人には近づいてはいけないな、と。


言い返すこともできたけれど、言い返したところで、今度は槍を投げてくるかもしれない。鋭く尖った切っ先の槍を。


痛みを感じにくい人は少数ではあるが実際いるように思う。痛みがわからない人と言ってもよいと思う。
痛みがわからない、ゆえに加減もわからない。
どこまで言っていいのか。どういうことを言ったら相手が傷つくのかわからない。
傷ついたことを伝えたところで「え?さっきの、あんなので傷ついたの?」とそんなことを言いそうだ。


一晩寝てすっきり忘れられるならいいのだけれど、そう簡単にはいかないのが心の難しいところ。
気にしないのがいちばん。それはわかっているのだけれど・・・。


痛みがわからない人の近くにいればまた刃で切られるかもしれない。今回のことですっかり怖くなってしまった。


痛みがわからない人から自分を守るには、とにかく近づかないこと。距離を置くこと。それがいちばん良いような気がする。