暗闇のなかで手さぐり

ふと昔よく聞いていた音楽を聞いて、昔とは違う感じ方をしたのだけれど、自分の感覚の変化に気づいた瞬間、自分を取り巻く暗闇をまざまざと思い知って、あらためて怖くなった。


少し前、人が亡くなる瞬間、偶然その場に居合わせることがあった。本当に偶然の出来事だったのだけれど、そのとき目にした光景が焼き付いて、今でも時折フラッシュバックしてしまう。


一寸先は闇だなぁと、その日以来繰り返し思うようになった。


なにかにすがりたい気持ち、なにかで紛らわせたいという気持ちが背中から迫ってくるのだけれど、その「なにか」がわからない。とりあえず、今は音楽を聞いているのだけれど、特効薬ではないようだ。漢方薬のように、じわじわ効いてきている気もしているけれど。


いや、この「じわじわ感」がもしかしたらよいのかもしれない。


以前からそうだったのだけれど、最近はさらに急速な変化を嫌うようになった。チャレンジも、まぁ悪いことではないと思う。でも、変化を受け入れられるような余裕がないとき、焦ってチャレンジすべきではないと思う。例えば、転職や引っ越しなど。焦って行動してよいことはない。それは経験的に痛感していることだ。


暗闇は怖い。けれど暗闇も、慣れれば、落ち着いてよいものなのかもしれない。静かであれば、もっとよい。静かすぎて寂しいのなら、好きな音楽を。


夜は空を見上げる。月を歯みがきの習慣のように探す。今日の月の形を、色を、見てホッとするのはよいものだ。


今、暗闇のなかで手さぐり状態で、心身ともにあちこち傷ついて、その痛みに辟易しているのだけれど、でもまぁ、今日も音楽が聴けて、月が見れたから、それでいいかな、と。