詩人茨木のり子さんのお別れの言葉

このたび私  年 月 日   にて
この世におさらばすることになりました。
これは生前に書き置くものです。
私の意志で、葬儀・お別れ会は何もいたしません。
この家も当分の間、無人となりますゆえ、弔慰の品は
お花を含め、一切お送りくださいませんように。
返送の無礼を重ねるだけと存じますので。


「あの人も逝ったか」と一瞬、たったの一瞬
思い出してくだされば、それで十分でございます。
あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかな
おつきあいは、見えざる宝石のように、私の胸に
しまわれ、光芒を放ち、私の人生をどれほど豊かに
して下さいましたことか・・・。


深い感謝を捧げつつ、お別れの言葉に
代えさせて頂きます。


ありがとうございました。


年 月 日


茨木のり子の家』より


自分のことをほんの一瞬でも思い出してもらえたらうれしいというのはありますね。
さまざまな人に支えられてるなぁと思う毎日です。


ここが特に印象に残りました。

あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかな
おつきあいは、見えざる宝石のように、私の胸に
しまわれ、光芒を放ち、私の人生をどれほど豊かに
して下さいましたことか・・・。


なんていうのかな、物より思い出だと思うのです。まぁ、よく言われることですが。


死ぬ前にあったかい楽しい記憶だけ残ってたらいいな、と。
あれもこれも楽しかったなぁと・・・。


この本の中に紹介したお別れの言葉があります。

茨木のり子の家

茨木のり子の家