水仙と空き家。

閑静な住宅街の一角。
日本風の古い家。
頑丈そうな木の雨戸はすべてきっちり閉じられ、今は誰も住んでいない。
庭が薄緑の柵ごしに見える。
まるで集会でもしているかのように咲きほこる水仙たち。
薄黄色のその水仙が冬のやわらかな陽射しの中静かにゆれる。
木々はざわめき、やがてまた静寂へと。
家は空き家になって長い。
住人のいない住まいの寂しさ。
柵の向こう、ただ無心に咲きほこる水仙たち。
ああ、自然ってすごい。
すごいと思った。