組織内のバランスと個人の資質について考えた

例えば、職場内において、お互いを補完しあう関係がいくつも成立している場合、仕事はうまくいくものだと思った。あるとき、急遽、会議室を変更することになった。とてもアグレッシブ行動的なAさんは、使用できる会議室を押さえるために会議室の使用管理を管轄している庶務課へ走り、使用できる会議室がC会議室だとわかると、C会議室にセッティングに飛んでいってしまった。


一方、Bさんは、冷静で慎重派。その使用できるC会議室が会議参加者が全員は入れるか確認。椅子が足りないということで、他から椅子だけ運び入れる算段をとり、それをすでに会議室入りしているAさんに伝えた。そして、会議室がC会議室に変更になったことを会議参加者に連絡し、かつ会議室が変更になった旨の掲示物を旧会議室前に貼り、C会議室の場所も手書きする念の入れようだった。


行動派のAさんのおかげで、セッティングは無事間に合い、冷静慎重なBさんのおかげで、会議室参加者に会議室変更の件が伝えられ、一部、連絡が取れなかった人も、旧会議室にも張り紙がしてあったので、旧会議室で待ちぼうけを食らう人も出ず、めでたしめでたし。会議は全員参加で、定刻に始められた。


思うに、行動がはやいことはもちろん良いことだけれど、早い分、なにか取りこぼすことも多いように思う。取りこぼしをなくすためには、フォローする冷静さや慎重さが必要だし、でも冷静慎重すぎて、行動が伴わないのは困る。


組織において、そういった行動的な人と慎重な人というのは、バランスよくいたほうがよいと思われる。行動的な人は、慎重な人にイライラするかもしれないけれど、慎重な人には慎重な人のよさがあり、もちろん行動的な人は、それだけで、敬意を表したい。私が慎重で、とても行動的とはいえないだけに、行動的な人をすごいと思う。


考えてから動きたいタイプの人というのは、だいたいにおいてなんでも遅い。決めるのも遅いし、いわゆる優柔不断で、意外と言語化は得意なのだけれど、でも行動が伴わない。逆に、言語化は苦手だけれど、あれこれ言う前にやってしまえ、細かいことはいいんだよ!と行動してしまう人も少なくなくて、だいたいにおいて、行動する人は注目されるし、結果を出す。それもそうだ。行動しないのに結果は出ない。行動する人は評価されるし、一方、行動しない人は評価の対象にすらならない。そもそも評価されるようなことをしていないのだから。


「行動しろ」そう言われても、行動できない自分を歯がゆく思う。考えてから、納得してから動くというのが、もう「かまぼこの板」のように張り付いてしまって、ちょっと揺さぶったくらいでは剥がれそうにない。


では、どうすればいいのか。


まったく動かないわけではないけれど、ここはひとつ行動的なことは行動的な人に任せ、それをフォローする側に回ることで、自分の立ち位置を確保できるのではないか、と。取りこぼし、あとあと問題になりそうなことの芽を摘む。そういった仕事をする人も必要で、自分の資質を生かす方法は探せばあるはずだと思う。


職場や組織に行動的な人が多ければ多いほど良い、とは一概には言えないと思う。慎重な人、俯瞰して取りこぼしがないか、問題が起きていないか、問題が起きそうなことはないか見る人、チェックする人も必要で、私はこちらの立場をとりたい。後方支援という言葉も今思いついた。


組織が必要としている資質は、ひとつだけではないと思う。むしろ、さまざまな資質を必要としていて、資質的にうまくマッチングすれば、働きやすいと感じられるし、逆の場合は働きにくい、働きたくないとなるのかもしれない。


長くなってしまったので、このへんで。