『容疑者Xの献身』見てきました。

容疑者Xの献身』見てました。泣いてきました。

以下ネタバレあり
感想のようなものをだらだらと書いてます。


映画『容疑者Xの献身』を見て、大学でドイツ演劇の授業を受けたときのことを思い出しました。その授業は悲劇についての授業のときだったのですが、悲劇というのはどうして悲劇かというと、どうしようもない動かしがたい軸があるから悲劇になるのだそうです。
ドイツ演劇ではないのですが、わかりやすい例で言うとロミオとジュリエット。これはロミオとジュリエットは家同士の対立という軸があって、ふたりは結ばれることができないという、言い換えれば悲劇になる軸(原因)があるわけです。

恋愛系の悲劇の軸は現代のドラマや文学でも恋人の病気だったり、死だったりするわけです。悲恋物の原因は何なのか、どうして悲恋に終わってしまうのか、ハッピーエンドにならないのはなぜなのか。そういう分析をする授業で面白かったです。ただ単に読んで泣いた、見て泣いた、あるいは笑った、面白かったですまなさいでもっと深く考えなさいと教授から言われたのを思い出します。


容疑者Xの献身
これも靖子と靖子の娘が元ダンナを殺してしまったという悲劇の軸があります。
誰も動かせない殺人という軸。
この軸を中心に彼らは回っていきます。
元ダンナを殺してしまったということは、動かしがたい元に戻せない事実であり現実です。
靖子、靖子の娘は必死だった。
衝動的な殺人。
好きにならなければ、天才数学者(石神哲哉)は殺人隠蔽に携わることもなかったでしょう。
しかしながら、好きだからこそ、その人のために……という気持ちもわかる。
自分が代わり罪を被っても、好きな人には幸せにでいてほしい。
好きな人には笑顔で暮らしていてほしい。
彼女、彼女たちは悪くない。(殺人は犯罪ですが)
ただ幸せになりたかっただけ。
不幸にする男から逃れたかっただけ。
不幸にする男を殺してしまった悲劇の軸。


だれでも幸せになりたい。
容疑者Xはすばらしい頭脳で殺人を隠蔽したけれど、
でもそれで彼女と娘は幸せになれるわけじゃなかった。
別の殺人を犯してしまったから。


不器用すぎる天才数学者に涙しました。堤真一が熱演しています。


映画や本(小説)を読んだあとはその後日談、続きを考えたりするのが好きなのですが、『容疑者Xの献身』の登場人物たちのその後を想像してみたりしました。彼らはあれから、どうなるのだろうかと。私だったら彼らののちの人生をどう描くだろうかと。