再読のススメ

次々と新しい本を読んでいるのがいつもの私なのですが、最近は以前読んだことがある本を再読する機会があって、驚きました。
新しい発見がありました。
以前読んだときとはちがう新鮮さがありました。
名作と言われるものがどうして名作と言われ続けるのかわかったような気がしました。

表現力、描写力がすごい。

そう思います。丁寧に言葉を選んで、言葉を駆使して書かれている。適当ではなくある意味計算された言葉群がその作品を形作っている。丁寧に読むことでよりその作品の世界にどっぷりとつかることができる。奥深く潜っていける。この楽しさは快楽です。


逆に言えば、小説を書く側からしてみれば、やはり言葉は選んで、言葉を駆使して書かないといけないのだろうと思います。言葉を駆使するというのは、そうですね、言葉を尽くして書くということに近いかもしれません。いかに自分が伝えたいことを的確に表現するか。曖昧なニュアンス的なものを伝えたいのだとすれば、どう表現したらその曖昧な表現ができるのか。稚拙ではなく陳腐でもなく自分の言葉で、書かれた文章を読んで、「ああ、これは○○○さんの文章だ」と言い当てられるくらいまで自分の表現を確立できたら、あるいはこの文章を読んでいると「○○○さんの世界観がよくあらわれているなぁ」とそれくらい言われるようになったら、本望ですよね。まぁ、これはブログについても言えるかもしれません。読んでいて「ああ、これは○○○さんの文章だ」「よく○○○さんの考え方があらわれているなぁ」と、それはその人らしさが表に出ているということでよいことだと思います。


歳をとって、いろんな経験をしてわかるということもあると思います。学生時代(あるいは若い頃)読んでみたけど面白いとは思わなかった。けれど、歳をとってから読んでみたら、その面白さがわかるようになった、そういうこともあると思います。


作家が描いた世界を理解できるようになった、感じることができるようになったというのはしあわせなことだと思います。描かれた世界からどんなことを感じるのか、吸収するのか、それは読み手自身にかかってくるものなのですよね。自分のレベルが低いときは、どんな素晴らしいと言われる作品もよくわからない難解なものでしかない。よくわからないからいいや、ということで放り投げてしまう。そういうこともあると思います。


自分のレベルの低さを棚にあげて、作品についてああだこうだと批評はしたくないですし、また、名作といわれるものでもどうしても肌に合わないものもあると思います。それはそれで仕方ないように思います。


どんな作品を名作と思うか、それは人それぞれちがうと思います。人それぞれ感性がちがうので、好きになる作品もちがうと思います。自分が好きだから他の人も好きになるとは限らない。自分の好きを他の人に押しつけるのはどうかと思いますし、人それぞれの好きがあっていいと思うわけで、人それぞれに好きな作品があってそれを大事にしていく、そんな感じが好きだったりします。


ごちゃごちゃと書いてしまいましたが、好きな作品、自分的に名作だと思っている作品、秋の夜長に再読してみてもいいかもしれません。