再スタート。自分の人生を変えられるのは自分だけ。

食堂かたつむり』を読んで、また映画食堂かたつむり スタンダード・エディション [DVD]を見てつらつらと。

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。『食堂かたつむり (ポプラ文庫)

1.帰る場所、眠る場所

この作品を読みながら思ったのは、家具や生活道具もお金も何もかも失ったとしても帰る家があり、ゆっくり眠る場所があるというのは、しあわせなことだと思う。


主人公倫子は、母親との確執があるにせよ、帰る家、眠れる場所があることで、再スタートを切ることができるというのはあると思う。


今の日本で、と書くと大げさかもしれないが、今の日本の状況で、再スタートをきり、ひとりで店をいちからはじめるというのは、かなり困難を伴うことのように思う。
倫子の場合、実家があり、店にする建物(小屋)があり、熊さんといった協力者もいて、恵まれているなぁとそう思う。


恵まれているとはいえ、嫌がらせもあったり、元々は中学を卒業して田舎を飛び出すくらい田舎を嫌っていた倫子だから、戻ってきてからの居心地がよかったとは思えない。


それでも、料理があれば、大好きな料理があれば、食堂をやって生きていける、そう思って倫子は動き始めた。


好きなものに集中して、それだけに時間を費やせるというのはしあわせなことだと思う。

2.「いつかいつか」の「いつか」はやってこない。

人は好きなこと、やりたいことがあっても、なかなかできないでいたりする。あとまわしになって、いつかいつかそのうち、時間ができたら…と。


「いつかいつかそのうち」というその「いつか」はいつやってくるかわからない。やってこないかもしれない。
「いつかいつかそのうち」と言っているうちに人生が終わってしまうかもしれない。

3.できない言い訳をする人は永遠にできないまま。

好きなことやりたいことをやっている人はイキイキしている。


が、その一方で、
「好きなことをするって言ったって、現実はそんなに甘くないんだよ。好きなことよりやらないといけないことのほうが多いんだ」
そう言う人もいるだろう。


「好きなことをしたいけど、できない」
「できないできない」と言っているうちは、おそらくずっとできないままだろう。


できない言い訳をする人は永遠にできないままだと思う。


どうしたらできるようになるのか、そちらのほうへ思考をシフトすること、できない理由を探すよりは「どうしたらできるようになるのか」考えたほうがいい。

4.動き出さなければ変わらない。

たとえお店にひとりもお客が来ないとしても、それでも店を開いてみないことには何も変わらない。


イラストを描いて、イラストが仕事になったらいいなぁ、もっといろんな人に見てもらいたいなぁと言っている知人がいるが、描くだけで、売り込み、持ち込み、応募等はしていないらしい。
どうせ無理だと思っているからだろうか。
ただ描いているだけでは仕事にはならない。最初は相手にされなかろうと、酷評されようと、絵を仕事につながる関係先に見てもらわなければ、趣味で描いているだけで終わってしまうだろう。あるいは、自腹で本にする、同人誌で発表するというのもいいと思う。もっといろんな人に見てもらいたいと思うのならば。


なにかをはじめるときには、リスクも考えなければならない。
うまくいくとは限らない。
うまくいくとは限らないけれど、それでもはじめないことには、変わらない。


以前、田舎でこつこつと働き300万円貯めた人の話を聞いた。
この300万を持って上京するらしい。
上京してやりたいことがあるらしい。
そのやりたいことが即仕事になるかはわからないけれど、
まずはやってみると。
そういう人はいいな、と思う。応援したくなる。


一方、都会でのひとり暮らしに疲れ、田舎に戻って同じく独身だった幼なじみの女性と結婚して新たに再スタートを切ったという人もいる。小説みたいな話だと思ったが、本当の話だ。
脚色して書いた話がこれだ。
http://d.hatena.ne.jp/komoko-i/20100905/p1


再スタートはいつでも切れる。
困難は伴うかもしれないけれど、
できないことはない。
できるかできないかは、やってみないとわからない。


付け加えて書くと、
案外他の人は、自分が気にするほど自分を見ていなかったりする。
例えば、転職したとして、自分では悩みに悩んだ末、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで転職したとしても、周りの人は、
「へぇ、転職したんだー、次のところでも頑張ってねー」
と思うくらいだったりする。


他の人は案外見ているようで見ていないし、見ていないようで見ていたりするもの。
新しく何かをしようとすれば、あれこれ言ってくる人もいるかもしれないけど、それはそれ。自分がやりたいと思ったらやってみればいいと思う。結局、自分のことだから、自分の行動の結果について責任をとるのも自分。要は「自分がどうしたいか」だと思う。


自分の人生を変えられるのは自分だけ。
誰かが変えてくれる、棚からぼたもち的なものを期待するよりは、自分を信じて、やってみることだと思う。

食堂かたつむり

食堂かたつむり

食堂かたつむり スタンダード・エディション [DVD]

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食堂かたつむりの料理

食堂かたつむりの料理