読んだ本『シャーロック・ホームズと見るヴィクトリア朝英国の食卓と生活』

シャーロック・ホームズを読んだことがある、ヴィクトリア朝(1837年~1901年)英国に興味があるということで読んでみた。
ヴィクトリア朝時代の英国の食事情を中心に当時の生活のことが細かく紹介されていて、面白かった。

第1章 食材と生活用品
第2章 英国食糧事情
第3章 お茶の時間
第4章 シャーロック・ホームズと英国料理
第5章 アルコールと生活
第6章 ヴィクトリア朝の生活と文化

この中で、印象に残っているのが
第2章にあった『アヘンと乳幼児の死亡率』について書かれたところだ。

もちろん現代と違って死亡届を出しにきた親は「ゴドフリーの強壮剤」などのアヘン入りシロップが乳幼児に害を与えるとは思っておらず、なくなる前の症状だけ、「痙攣をしたあとに死んだ」又は「生まれてから元気がなくミルクも飲まなくなった」とでも戸籍登録官に説明をしたのでしょう。
シャーロック・ホームズと見る ヴィクトリア朝英国の食卓と生活より

アヘンの歴史的な問題は聞いたことがあるけれど、「アヘン入りゴドフリーの強壮剤」については初耳だった。

『19世紀を通していろいろな種類のアヘン入り薬に人気があり(というより、労働者階級は医師にかかることができないので薬剤師に相談して薬を買っていた)、「1908年にアヘン入り特許薬の販売が禁止」されるまで、ヨーク市の労働者の貧困層から最上地区の家庭でも乳幼児に使用していたからなのではと考えられます』
シャーロック・ホームズと見る ヴィクトリア朝英国の食卓と生活より

アヘンは当時薬として使われていたそうで、このアヘンが清で栽培されている様子が中国ドラマ『月に咲く花の如く』の中でも出てくる。




第3章によると、ヴィクトリア朝当時コーヒーや紅茶、それにチョコレート(飲み物)が飲まれていたようで、
チョコレート・ポットと言われるものと攪拌棒を使って作られていたそうだ。

ポットの蓋にある穴に差し込んだ攪拌棒を上下させてチョコレート(ペースト)とお湯(卵と牛乳を入れることもあり)を混ぜ合わせてチョコレート(飲み物)が完成です。
シャーロック・ホームズと見る ヴィクトリア朝英国の食卓と生活より

この攪拌棒で混ぜてチョコレート(飲み物)をおいしくつくるのは難しかったようで、

チャールズ・トリージリス卿のように、おいしいチョコレート(飲み物)が飲めないという嘆きも、
1828年にオランダのクンクラート・ヨハンネス・ファン・ハウテン(バン・ホーテン)が脂肪分のごく少ない粉末チョコレートの製法の特許をとって、現在の「ココア」の販売を始めてからなくなりました。
シャーロック・ホームズと見る ヴィクトリア朝英国の食卓と生活より

それ以来、カカオ粉末とお湯で混ぜて作る手軽な飲み物になったようだ。


当時の食事情を知るとともに、コーヒーやお茶、ココア、ビール、ブランデー、砂糖、缶詰などの歴史も紹介されていて、どれも興味深い。