走り出す運転手さん。

近所の桜が咲きはじめました。
やわらかいうすい静かなピンクはほとんど白に近い。
人通りもあまりなく、車もあまり通らない道。
ふと見ると路肩に一台のタクシー。
運転席から降り、車の傍らで運転手の人もその桜を見上げていて……。



突然車から離れ走り出す運転手さん。
私の方に向かって。
なにごとだろう?と思わずかたまる私。




ああ、わかりました。
風のせいです。
走り出したのは、
風でオニギリを包んでいたものが飛んでしまって、
それを追いかけていたのです。


コンビ二等で売られているオニギリを包んだビニール(?)
薄くて軽くてぺらぺらですからね、
はがしたものが強い風で飛んでいって……。


ゴミだから飛んでいってしまったらそのまま放置してしまう人も多いでしょう。
追いかける運転手さんは微笑ましくて、
その運転手さんも笑っていました。


「風が強いねぇ」
照れたように笑って、ビニールを拾って戻っていきました。おわり。